CRAFT

製法のこだわり

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「アルコールを抜く」のではなく、「最初からこの姿で設計する」

Non Alcoholic Gin Wonder は、完成したお酒からアルコールを取り除いてつくられた飲み物ではありません。alc. 0.00% であることを前提に、ゼロから組み立てた一本です。

この違いは、味わいの構造そのものに表れます。

アルコールを抜くという発想からは、どうしても「本来あったものが失われた状態」が生まれます。香りを運ぶ役目も、味を締める役目も、余韻を引き延ばす役目も、すべてアルコールが担っていたからです。抜けば、そこには穴が残る。

私たちは、その穴を埋める道を選びませんでした。穴が空かない設計を、はじめから引くことにしたのです。

アルコールがない前提で、骨格を組む

酒の飲みごたえは、多くをアルコールのキックに頼っています。それがない以上、飲みごたえは別の要素でつくらなければなりません。

Non Alcoholic Gin Wonder では、香り・苦み・甘み・余韻という四つの要素を、それぞれ独立した設計対象として扱いました。

  • 香りは、立ち上がりと持続を分けて設計。グラスに鼻を近づけた瞬間の第一印象と、飲んでいる間ずっと続く層を、別々に組み立てています
  • 苦みは、味の輪郭をつくる役割。ボタニカル由来の心地よい苦みが、味わい全体の輪郭線になります
  • 甘みは、苦みを追いかける役割。前に出過ぎず、しかし確かに感じられる位置に置きました
  • 余韻は、飲み下したあとに残る役割。ここが短いと、料理と並べたときに一杯が消えてしまいます

この四つが喧嘩せず、一本の線としてつながること。それが、私たちが追い続けた設計目標でした。

「淡さ」との戦い

ノンアルコールという領域が抱える最大の課題は、淡さです。軽く、水っぽく、香りが表面をなぞるだけで終わってしまう。料理と並べた瞬間に、皿に飲み込まれてしまう。

Non Alcoholic Gin Wonder が最も時間をかけたのは、この一点でした。

香りが軽すぎれば料理に負ける。甘さが勝ちすぎれば皿の印象を塗り潰す。その狭い道を通れる密度を探して、素材の配合と抽出のバランスを何度も組み替えています。

結果として得られたのは、ノンアルコールという先入観を裏切る「厚み」——しっかりとした骨格を持つ味わいです。従来のノンアルコールスピリッツとの決定的な違いは、ここにあります。

供し方まで含めて、ひとつの設計

味が決まっても、設計は終わりません。

どのグラスで、どの温度で、どう供するか。どの割り材と、どの比率で合わせたとき、この一本が最も雄弁になるのか。既存のカクテルをなぞるのではなく、この一杯のために比率と温度を探しました。

アルコールの有無で、供され方の格が変わってはならない。私たちは、そこまでを一続きの設計と考えています。

歴史が選び抜いた素材の力を、借りる。

BOTANICALS

Non Alcoholic Gin Wonder に使うボタニカルは、伝統的なジンと同じものを厳選しています。

数百年にわたって世界中のつくり手が試し、残り続けてきた素材には理由があります。私たちが目指すのはジンの再現ではありませんが、その「理由」の部分——素材そのものが持つ力は、迷わず借りることにしました。

ジュニパーベリー
JUNIPER BERRY

ジュニパーベリー

西洋ネズの果実。ジンをジンたらしめてきた、唯一無二のボタニカル。針葉樹らしい清冽な香りと、松脂を思わせるほのかな樹脂感が、味わい全体に一本の芯を通します。

Non Alcoholic Gin Wonder では、このジュニパーの凛とした香りを味わいの基調に据えました。グラスに鼻を近づけたときに最初に立ち上がるのも、飲み下したあとに最後まで残るのも、この香りです。

アルコールという背骨を持たない一杯にとって、ジュニパーは文字通りの背骨。ここが弱ければ、すべてが淡く流れてしまいます。だからこそ、香りの立ち方には最も慎重に向き合いました。

コリアンダーシード
CORIANDER SEED

コリアンダーシード

コエンドロの種子。葉のパクチーとはまったく別の顔を持つ、ジンの二番目の柱。柑橘を思わせる爽やかさと、ほのかにスパイシーで甘やかな芳香をあわせ持ちます。

ジュニパーが縦に伸びる香りだとすれば、コリアンダーシードは横に広がる香り。この二つが交差することで、単調になりがちな香りに立体感が生まれます。

Non Alcoholic Gin Wonder のオリエンタルな印象、幾重にも重なる香りの層は、この素材が支えています。口に含んだときに感じるスパイスを思わせる爽やかさも、ここから来るものです。

そのほかのボタニカルについて

Non Alcoholic Gin Wonder は、上記を軸としながら、複数のボタニカルを組み合わせて構成しています。

詳しい構成は、現時点では公開していません。細部を詰めている最中であること、そしてこの一本の味わいが、素材の一覧ではなく、その組み立て方によって決まっていると考えているためです。

素材の名前ではなく、グラスの中で確かめていただけたら。